おーもりカレー

よく晴れた日曜日に妻とふたりで近場へドライブに出かけた。こんなポカポカ日和には城南島海浜公園で羽田空港を離発着する飛行機を眺めて過ごすのにちょうどいい。

環七は空いていた。クルマの流れはスムーズで昼頃には大森駅の近くまで来ていた。

城南島に着く前にここらへんでお弁当でも調達していこうとクルマを停めて駅方向へと向かう横断歩道を渡った先に「本格インド料理」の看板を掲げた店があるのに気づいた。

「ランチタイムはナンがおかわり自由なんだってさ」

「じゃあ、ここで食べていこうか?」

「そうしようか」

クルデヴというその店のカレーは5段階の辛さ度の中から好きなものを選べる。チキンカレーとマトンカレーともに標準的な辛さ度3を選んだのだがこれがまあまあ辛い。フワッふわの焼きたてナンをカレーと一緒に食べると小麦の甘さを強く感じた。

ふたりとも1枚ずつナンをおかわりして満腹したところで店を出て城南島へ向かう。

城南島に着いてみるとそこは風も穏やかで陽射しも柔らかく見晴らしも効いて絶好の散歩コースであった。あんまり気持ちがいいのでクルマに積んであったテナーサックスを吹きたくなった。朝練に持ち出したままだったのだ。

「じゃあ、わたしはそこらへんを歩いてくるわ」と、妻はひとりで散歩のつづきへ。



羽田空港とは反対側のレインボーブリッジが見える側で小一時間も吹いていただろうか。日が傾いて空気が冷んやり感じられた頃、楽器をクルマに積み、妻を呼びに行こうと公園内をショートカットして羽田空港が見える海側に出たすぐのベンチに妻がいた。

手を振って駆け寄ると、

「あら、ちょうどよかったわ、少し冷えてきたからクルマに戻ろうかしらと思ってたところだったのよ」と迎えてくれた。

12月15日、結婚記念日だからといって何も特別なことが起きたわけでもない、普段と変わらぬ日曜日でした。