国語のチカラ

 
【質問】国語と聞いて連想するものといえば?

 まずは、国語のテストだな。
 
 ・漢字の読み書き
 ・言葉の意味(同じ/反対)
 ・文中の「それ」が示すもの
 ・カッコ[  ]に当てはまる言葉
 ・筆者の「言いたいこと」
 ・××とは何のこと?
 ・文中の言葉を使って○○文字以内
 ・
 ・
 ・
 
 以上に書いてきたようなパターンの出題の繰り返し。
 定期試験でも模擬試験でも入学試験でも同じだった。
 【問1】、【問2】、【問3】……【問5】くらい。
 
 塾で習っていたのは試験で「いい点数」を取るためのテクニック。
 
 なかでも印象に残っているのは漢字の攻略だ→漢字問題は1つもこぼすな。最初から10点とか20点をタダでくれる問題だ。漢字なんかで失点するな!
 
 つぎに「それ」が示すもの→「それ」を問われたら数行遡って何かを説明している部分を探せ。見つけたら、その部分を「それ」に丸ごと当てはめて意味が通じればそれが正解。
 
 語尾は問われた言葉で答えなさい→「××したこと」、「××したとき」、「××したところ」、「××だから」など。
 
 
 
 しかしだね、これらをシッカリ押さえておけば「いい点数」が取れると教わったはいいが、それらを身につけるには、一体全体どうすりゃいいの?
 
 漢字についてだけはどうすればよいのかその確かな方法がわかる。何度も何度も繰り返し手で書いて覚える。頭じゃなくて手で覚えるのだ。
 
 
 
 ほかは?
 ほかはどうやって身につければよいのだろう?
 
 
 
「しっかりと文章を読んで、何が書かれているのかを正しく理解することだ」
 
 は?
 
「設問を読むときも同じだよ。何を問われているのかをきちんと知ることだ」
 
 え?
 
「そうして、問われていることに対して、正しい言葉できちんと答えなさい」
 
 だから、それって、どうやれば?
 
「言葉の意味を知り、それをどこでどのように使えばいいのかを知りなさい」
 
 
 
 だからというわけもないのだが、国語辞典と漢和辞典が私の愛読書になりました。知らない言葉や読めなかったり書けなかったりする字に出会ったらすぐに辞書を引く。いつしかそれが習慣になっていた。
 
 調べたい言葉や字が載っているページを開くと、そこには目的の言葉や字の意味だけではなく、その使い方のほか、その言葉や字を用いた熟語や慣用句、同じ意味や反対の意味をもつ言葉までもが記されている。ひとつの言葉や字を調べることがきっかけになって、次から次へとあたらしい言葉の世界が広がっていく。
 
 
 
 おもしろい! 楽しい!
 
 
 
 そのとき知りたかった必要なことをその場で調べるだけではなく、「読みもの」としての辞書の楽しみ方にも親しむようになっていた。新しい言葉や字を知って自分の中の言葉の在庫を増やすごとに、文章を読んだり書いたりすることも楽しくなってきた。
 
 そうしているうちに、気づいたら国語のテストの点数がよくなってきたんだな。さすがに満点とはいかないものの、平均して85〜90%くらいはコンスタントに得点できるようになっていた。
 
 もちろん、漢字の読み/書きや、言葉の意味などの設問にかんしての取りこぼしはゼロだ。それだけで総点数のうち20〜30%は確保できる。漢字や言葉の意味をたくさん知っていることが問題文を読むときにだって役に立つ。なにより「読み違えない」というだけで、ひとつの大きなアドバンテージを得たことになる。
 
 100点満点のうち20点が漢字などの基礎点数だとすると、残り80点の8割を正解できれば84点取れちゃうんだから楽なものだ。9割できれば92点も取れちゃうよ!
 
 
 
 だからといって、国語が得意だったのかと聞かれても、自分自身では何と答えたらよいのかよくわからない。テストで「いい点数」を取るために何かしたわけでもないし、とくべつ努力をしたわけでもない。何でか知らんうちに点数が取れてたのだから、もっと努力すれば100点だって目指せていたかもしれないものね。何をどう努力すればよかったのかは知らないが。
 
 もし、「どうすれば国語の成績が上がるようになるのか?」と聞かれたときに、私が言えることはただひとつ。「漢字の書き取り練習を繰り返したことが浮上のキッカケになったと思う」、それだけだ。
 
というようなことを考えていたときに興味深い記事に出会った。
 
 
 
国語学ぶ理由 国語力の有無で他の教科の理解力が変わるから(NEWSポストセブン)
http://www.news-postseven.com/archives/20110614_23035.html
 
 
 
 東大に多数の人材を送り込む西の名門・灘校で、中学の3年間をかけて1冊の文庫本『銀の匙』をゆっくり読む授業が行なわれていたというのだ。
 
 わずか200ページほどの薄い文庫本を読みながら、そこに書かれたことを主人公になったつもりで追体験する。駄菓子を食べたり、自分で凧を作って凧あげをしたり。
 
 文中に「知らない言葉」が出てきたら、それを調べる。調べているうちにまた新たな言葉に出会ったら、またそれを調べる。徹底して深掘りしていく。遊び感覚で、みんなで楽しみながら学んでいく。
 
 ひとつの言葉をキッカケに、点から線へ、線から面へ、面から立体へと、子どもたちが知識の世界を自身の手でどんどん広げていけるようになるのがその目的なのだという。
 
 印象深い言葉があった。
 
「暗記で得た知識は、受験が終了すれば役目を終えますが、興味、好奇心から得たものは一生の財産になります」
 
 そのとおりだよね。
 
 何ごとにも、興味や好奇心を持ちつづけていないとね。ずっと持ち続けていたいものだよね。