5/2(月)の日帰りツーリングダイアリー

 
 5月2日(月)は、一家で早起きしてクルマに乗って遠出した。
 
「朝5時に家を出るつもりでいて、実際には5時半頃に出られたらいいんじゃない?」くらいな意気込みで4時に起きて、のんびりと朝食をとったり身支度をしているうちに5時を過ぎ、実際にクルマが走り出したのは5時半を少し回ったあたり。言ってたとおりの展開だ。
 
 行先は関越道方面だ。藤岡で分岐する上信越道へと進めば富山〜金沢方面へ、直進すれば新潟方面へ。そのときはまだ、どっちへ行くかは決めていない。
 
「金沢は大好きだからとっても魅力的なんだけど、寺泊(てらどまり)で魚を食べてから福島方面へも行ってみたいのよね」と妻はいう。
 
「どちらでもお好きな方へ」
 
 走り出してから関越道に乗り、藤岡の分岐に到達するまでは1時間ほどの猶予がある。その間に決めてくれればそれでいい。
 
「寺泊から福島へ抜けるっていうと、磐越道だよね? 磐越道って郡山から猪苗代あたりぐらいまでしか走ったことないから、今日が初めてになるんじゃない?」
 
 このひとことが決め手になったらしい。金沢までは去年の夏に日帰りで行ったことがある。寺泊から西へ、柏崎や出雲崎直江津へと進んだことはあるが、今まで東へと向かったことは一度もない。一度も行ったことがないのだから、それだけでも行きたい理由には充分だ。
 
 
 
 
【寺泊(てらどまり)・魚のアメ横
 
 寺泊の通称「魚のアメ横」には10時ごろに到着してから2時間ほど滞在した。その間、食べ歩きし放題。「浜焼き」を売っている店が何軒もあって、そこで目についたものをいろいろと買って食べた。
 
 長さ30センチほどもある丸ごと1匹のサバ塩焼き(串)が500円で売っていた。革のライディングスーツを着込んだライダーがそれをムシャムシャ食ってたのが印象的。
 
 妻はアレルギーがあるのでイカタコエビカニウニ貝を食べない。家でそれらが食卓に出てくることもない。その妻が「アタシのことは気にしないで、好きなものを食べてていいわよ」などと言うので、エビつくねだとか、イカ入りさつま揚げ(デカイ)などを買い、娘とふたりで食べた。
 
 その他にも、子持ちシシャモのフライだとか、小あじの唐揚げだとか、ハタハタの唐揚げなどが美味しかった。試食用のしらす干しや小女子などもたくさんあって食べ比べているだけでお腹一杯になれそうだ。
 
 
■参考リンク: 寺泊魚の市場通り(魚のアメ横
おでかけ情報満載!「まっぷる」の観光旅行メディア|まっぷるトラベルガイド
 
 
 
 
【リッパな大明神の、ごリッパなオタカラ】
 
 寺泊から三条を抜け、R290を通って馬下(まおろし)を経由し、R49に合流して阿賀野へ。道の駅「阿賀の里」で休憩。ここの売店で売っていた揚げたての山菜天ぷらと手作り餃子、地元の飲むヨーグルトを味わう。
 
 道の駅「阿賀の里」には鐘軌大明神(しょうきだいみょうじん)という神様の、藁でできた立派な像がお祀りされている。この鐘軌さまってば、なかなかにごリッパなオタカラをお持ちである。立派な像の立派なオタカラに一礼して、クルマはさらに東を目指す。
 

 
 
 
 
【楽しいワインディング・R459】
 
 ここまでずっと高速(磐越道)には乗らずに下道を走ってきたが、思った以上に車の流れはスムーズだ。このままR49を直進して会津若松へと出るか、それとも途中で北へと逸れて喜多方へ向かおうか、走りながら考える。
 
「せっかくだから、喜多方ラーメンを食べて行こうよ」
 
 後部座席でケータイに録画したワンセグ放送を見ていた娘のひとことで行先が決まった。娘にとってクルマは「どこでもドア」だ。乗り込んでドアを閉めれば走り出し、停まったところでドアを開ければそこが目的地。移動途中は本を読んだり、音楽を聴いたり、居眠りしている時間なのだ。
 
 津川というところでR49は川を渡って右へと逸れていくが、われわれはそのまま直進してR459に合流し、新潟と福島の県境を越える。これがなかなか走って楽しい道だった。
 
 R459は、一応は国道である。新潟県内を走っているうちはまだよかったが、福島県に入るとやけに狭っちくなる。必ずしも見通しがよいとはいえない山道だ。タイトなカーブがつづく。「これさ、対向車が来てもすれ違えないよね」という箇所もある。
 
 この先のカーブが、どの程度のキツさなのかを、ガードレールの凹み具合を見たり、木立の隙間から見える空を見て地形を読んだりしながら判断する。
 
 カーブを気持ちよく駆け抜けるには、カーブに進入する際の車体の姿勢を整えておかなくてはならない。そのためにはしっかりと前輪に荷重をかけたい。となると手前でブレーキをかける必要がある。ブレーキをかけても減速しすぎないようにするためには、ブレーキをかける前にある程度の速度を保っていなければならない。ということは手前のカーブを抜けてから次のカーブまでの間を加速しながら走りたい。
 
 カーブに入るときに車体の姿勢を決めて舵を切っていく。これ以上ハンドルを切り込んでも進路を内側に向けることができない程度のところまで切る。もうちょっと車体を内側に、カーブの出口に向けたいときはアクセルを抜く。鼻が内側へ向こうとすると同時に後輪が前輪よりも外を通ろうとする。
 
 そのままの姿勢を保つには、緩めたアクセルをちょっと踏み込んで前輪に駆動力をかける。かけ過ぎると鼻先が外へと向かおうとするし、かけ足りないと鼻先が内へと向かおうとする。徐々にハンドルを直進状態に近づけながらアクセルを踏み込んでいき、カーブ出口に差しかかるまえに向きを変え終えて全力加速にかかれるようになっていれば合格点だ。
 
 助手席の妻や後部座席にいる娘の頭がガックンガックンと振られないくらいに加減しながら気持ちいいペースで走る。
 
 我われのクルマの数秒ほど前を、1台の大型バイクが走っているのに気づいた。R49からR459へと向かったのは、そのバイクと我われのクルマの2台。新潟ナンバーのヤマハだ。走りの安定感から、けっこうなベテランライダーであることがうかがえた。イッパツでバンクを決めてきれいな弧を描いていくコーナリング。加速すべきところでしっかり加速してくれるので後ろについていて走りやすい。
 
「喜多方へラーメン食べに行くんじゃないの?」
 
 などと言っているうちに、新潟ナンバーのバイクと我われ一家のクルマはそろって喜多方市内に入り、市役所から歩いて10分ほどの距離にある「街の駅」駐車場にそろってクルマを入れた。
 
 
 
 
喜多方ラーメン・坂内(ばんない)食堂】
 
 街の駅で、どの店で喜多方ラーメンを食べるかを調査。おおきな地図に店の名前を記したラーメンマップがあったので写メを撮る。
 

 
 一緒に駐車場に入ってきた新潟ナンバーのヤマハの、見た目年齢が私とほぼ同じくらいのオッサンも同じようにラーメンマップをメモに取っている。話しかけてみようかな?とも思ったが、メーワクに思われるかもしれないと思ってやめた。
 
 我われ一家がお土産などを見たりしながらそこらをウロウロしているうちに、ヤマハの彼はバイクを置いてどこかへ歩いて行ってしまった。どこかへラーメンを食べに出かけたのだろう。
 
「じつは、ネットで検索してきたのよ」と、プリントアウトしてきた紙をヒラヒラさせて妻が言う。
 
「市役所のすぐそばにあるらしいんだけど、前の道が一方通行らしいのよね」とも。店までクルマで行く気マンマンらしい。
 
「とりあえず入れるかどうかわからないけどクルマで行ってみよう」
 
 市役所わきの、クルマ2台がすれ違うことができないような狭い道をクルマで進む。もちろん一方通行だ。先の方にクルマがたまっている場所が見える。駐車待ちのクルマのようだ。その先に「坂内食堂」の看板が見えた。
 
「ここだわ」と妻。
 
「クルマ、停めらんないよ」と私。すぐ手前の道を左へ折れる。ホントに狭い道だ。曲がれるのか?と思うような場所を抜け、やっとのことで表通りに出る。
 
「市役所に停められるかな?」と市役所の駐車場に進入してみれば、大きな「市役所に用事のない方の駐車はお断り」の看板が。関東ナンバーのクルマを停めるには勇気がいる。一旦外に出たすぐ隣に「喜多方ラーメン館」の駐車場があることに気づいてそこにクルマを停めた。
 
 喜多方ラーメン館は、地元のラーメン店の総合案内所のような場所だった。ここなら安心してクルマを停めてラーメン店に歩いていける。ラーメン館の営業時間は18時までなので、先にお持ち帰り用の生ラーメンパックを購入し、今度は徒歩で駐車場を出た。
 
 市役所前を通過して、さっき目前で引き返した坂内食堂に到着、暖簾をくぐって引き戸を開けようとしたとき、店の中から出てきたひとがいた。なんとヤマハライダーのオッサンではないか。
 
「あっ!」
 
 お互いに、声には出さなかったが、たぶんハッとしたはずだ。この店のラーメンが目当てだったとはね。やっぱり話しかけてりゃよかったかも……。
 
 お店はたぶん空いていた。本来ならば行列必至なのだというが、震災や原発事故の影響で福島を訪れる人が激減してしまっているとのことであった。おかげで全く待たずにすぐに席に案内してもらえたし、ラーメンもすぐに出てきて食べられた。オーダー受付が18時というところへ17時45分ごろの入店だったので、食べ終わってからしばらくゆっくりくつろぐことさえできた。
 
(写真)
 
■参考リンク: 喜多方ラーメン「坂内食堂」
http://www.kitakata-kanko.jp/product/noodles/0017.html
 
 
 
 
【走行770km、ガソリン消費58.8L】
 
 ラーメンを食べ終えて店を出たときは外がまだ明るかったのでしばらく市内を歩いてみた。蔵作りの街並みにはもっとたくさんの観光客が歩いているはずなのだろうけれど、残念ながら人影はまばら。土産店らしきも閉まっていた。地酒でも……と思っていたのだが、酒蔵も酒店も開いていない。
 
 地元のスーパーだけが営業していた。酒コーナーで喜多方の酒を何種類か見つける。吟醸酒純米酒本醸造酒などは美味しくてあたりまえ。安い普通酒を飲んでみたくてそれを選ぶ。ふだん地元のひとが買って飲んでいる酒だ。笹正宗を1本買い求めた。
 
 ウロウロしてたら19時を過ぎて、すっかり暗くなってしまった。喜多方から練馬の自宅までの距離はだいたい300km。ここまで既に470kmほどの距離を走っている。燃料計を見るとガソリン残量は25Lに少し足りないくらいだ。高速主体で走っていれば燃費はだいたい13km/Lくらいだから、なんとかギリギリ帰れそうではあるが、念のため10Lだけ給油する。
 
 磐梯河東ICから磐越道に乗り、郡山JCTを経て東北道を南下。道路は渋滞知らずでスムーズに流れていたが、福島県内では80km/hの速度規制がかかっていた。ところどころに路面の補修跡があって、そこが段差になっていてクルマの挙動が乱れるからのようだ。地震の爪痕なのだろう。
 
 途中、上河内SAで一度休憩をとっただけで家に帰り着いたのは23時半頃だった。
 
 1日の走行距離は770km、ルートをグーグルマップに示す。グーグルマップによると走行距離が730km程度になっているのは、高低差を考慮していないせいだろうか?
 

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