今でも校歌を歌えますか?

 
 今朝の日テレ「ZIP!」で近頃流行りの校歌事情について特集していた。校歌といえば、行進曲調の2拍子のものが主流であるように思っていたのだが、最近ではいろいろユニークな校歌があって、なかなかの注目を集めているようだ。
 
 さいしょに取り上げられていたのは今年の夏の甲子園出場校でもある愛知の至学館高校の校歌。「J‐POP調すぎる校歌」として話題になり、なんとCD化するとかいうような話も出ているのだとか。1〜4番まである歌詞のうち1番が英語で2番が韓国語、3〜4番が日本語という盛岡スコーレ高校なんてのもある。ほかにもユニークな校歌がいくつか紹介されていた。
 
 そんな番組進行のなかで、「あなたは母校の校歌を覚えていますか?」だったか、「今でも校歌を歌えますか?」だったかの街頭アンケートをとっていたのだが、それが本日のフックになった。
 
 結果、「全く覚えていない」人の割合が25%ほどあったが、残る75%の人たちは何らかの形で校歌を覚えているということだった。何らかの形で校歌を覚えているという人たちは学校別に、小学校の校歌を覚えている人が70%をやや割り込む程度と最も高く、中学、高校と進むにつれてその割合は少なくなって、大学の校歌を覚えている人の割合は50%に届くか届かないかであった。
 
「あら、けっこう校歌を覚えている人がたくさんいるのね」
 
 感心したように妻が言う。
 
「あなたは今でも小学校の校歌って歌えるの?」
 
「高いミの音がもう出ないと思う、サビのとこの」
 
「そっちの意味の歌えるかじゃなくて、覚えているかってことよ」
 
「なんだ、そっちの意味での〝歌える?〟だったんだね」
 
 そりゃあ覚えていますとも。6年間ものあいだ朝礼で毎日歌っていた校歌だし、○○(←娘の名前)も通っていた小学校の校歌でもあるわけじゃないですか。
 
「それより、あなたの中学・高校の校歌って、たぶん日本でいちばん有名な校歌かもしれないわね」
 
「本人の意思にかかわらず、日本国中のほぼ全員が強制的に聞かされたという意味においてもね」
 
 そうなのだ、わが出身高校(中学も同じだけど)の校歌は、80〜90年代にかけての夏休みや春休みの全国放送で、おそらく最も数多く生中継された校歌のひとつであるに違いない。画面に映し出されている歌詞を目にして、「羽曳野」と書いて「はびきの」と読むのを初めて知ったという人が世の中に幾人もいたはずなのだ。たとえ、それが地名であることまでは知られていなかったとしても。
 
 ついでに言っちゃうと、大学の校歌もおそらく日本でいちばん人気。というかグローバル。卒業生でない人だって、1番の歌い出し部分くらいは知っている。さらに言っちゃうと、たったの3音節からなる大学名を7回もくり返し連呼するサビ部分なんて、日本語を知らない外国人でも1度聞けばその場ですぐにも歌えるようになるほどだ。卒業生である私がこれを歌えないはずがない。
 
「あなたの大学の校歌もけっこう有名よね」
 
「去年の秋に、佑ちゃん(←現日本ハムファイターズ斎藤佑樹投手のこと)を見に行った神宮で、あなたも一緒に歌ったじゃん」
 
「そうそう、佑ちゃんといえば、日曜日にマー君(←現楽天イーグルス田中将大投手のこと)と投げ合っていたけど、ずいぶん差がついちゃってるわよね、あれが4年分の差なのよね」
 
マー君の話は関係ないでしょ」
 
「そうね、佑ちゃんもプロに入ってからは身体だってずいぶん鍛えて相当出来あがってきてるはずなんだけど、マー君と見比べるとまだまだ弱っちい感じがするのよね」
 
「だからマー君は関係ないって」
 
「でもね、マー君みたいにガッシリムチムチになっちゃった佑ちゃんっていうのも何だか想像つかないわ」
 
「だからマー君は……」
 
「なによ、あたしは佑ちゃんの話をしてるのよ。マー君のことなんか今はぜんぜん関係ないでしょ! ちょっと黙ってなさいよ!」
 
「えええええーっ!!」
 
 今、話していたのは、佑ちゃんじゃなくて校歌のことじゃん!