つくつくだんだんつくだんだん?

 
 今朝も日テレ「ZIP!」に引っかかってしまった。こらこら、引っかかりすぎだろ自分。
 
 今日のキーワードはズバリこれ→「つくだん」……って、なんだそれ?と、思って見ていたら、どうやら「草食系男子」にはじまる、「弁当男子」やら「イクメン」やらなにやら、女性受けのする「ナントカ男子」とか「カントカ男子」の系譜に生じた新種の1種であるらしい。
 
 まあ、ややつくられた流行りモノっぽい感じがするのは致し方のないところとはいえ、このまま素通りするのもなんなので、ちょびっと考えをめぐらせてみた。そもそも、いったいぜんたい「つく男」って何の略?
 
 
 
 「つくね好き男子」?
 
 
 
 つくね! そういえば私ってば大の「つくね」好き。焼き鳥屋に行けば必ず「つくね」を注文する。タレ焼きも、塩焼きも、どっちも大好き。ふわふわの柔らかいつくねを噛んだときの、ジュワッと染み出てくる肉汁と刻み込んだネギの香りが混じりあって口の中に拡がる感じが堪らなく好きなのだ。軽く焦げ目のついたタレ焼きつくねに卵の黄身をからげていただくなんざ、もう、これ以上ないほどサイコーのシアワセっすね……って、その「つく」じゃねーよ!
  
 つぎ行きます。
 
 
 
 「佃煮男子」?
 
 
 
 イカナゴなどの小魚やアサリなどの貝類を、砂糖と醤油で甘辛く煮付けた「ご飯のお供」、もうね、これさえあれば、アツアツの炊き立てご飯が何杯でもおかわりできちゃうくらい。他にオカズなんかいらないよ。磯の香りがタップリの海苔の佃煮なんてのもイケてます。先日、新潟は寺泊の港のすぐそばの、何軒もの水産物店が軒を並べているうちの、端から特別に選りすぐった1軒で、試食に試食を重ね、選びに選んだたった1つの逸品が、なんつーかもうメチャ美味でした!……って、その「つく」でもねーよ!
 
 
 
 「ツクツクボーシ男子」?
 
 
 
 今を去ること遥か30年も昔々、漫才ブームに乗って人気者になった上方はヨシモトの芸人さんに、顔がやたらとデカくてガラガラ声の「西川のりお」というオッサンがいました。この人、とにかく声がメッチャ汚いんです。しゃべり方も下品やし。下品さ余って、B級ホラーと誉れ高い映画『ビートルジュース』の日本語吹替えを担当してはりましたくらいやのに、あろうことかウグイスの鳴き真似を持ち芸にしてました。
 
「ほーほけきょ」
 ↑
ぜんぜんカワイくない! にもかかわらず、チョーシこいたこの男は、両手を合わせて腰を前後にカクカク(←専門的な用語で言うと、この動きは「抽送(ちゅうそう)」とかいうものだそうです。よくは知りませんが)させながら、
 
「ツクツクボーシ、ツクツクボーシ……」とやりやがったワケですよ! あ・り・え・な・い! ぶっ殺してやろうかと思いましたよ。ホントにもー。
 
 つぎ行きます。
 
 
 
 「つくば男子」?……なんだそりゃ、却下!
 
 
 
 「ZIP!」がいうところの正解はなんとコレ!→「尽くす男子」を略して「つく男」
 
 なんでも、「ZIP!」サイドで勝手に作った造語だそうで、これから流行らそうという魂胆がチラリと透けて見えつつも、万がいち空振りに終わってしまった場合の責任逃れも今のうちから周到に用意されていそうな臭いがぷんぷん。
 
 だいたいさー、「尽くすタイプ」とか言うけどさー、あれはいったい何なのさ?って思いながらTVを眺めていたんだけど、街を行くカップルに対するインタビューやら何やらで、なんとなく様子がわかってきた。
 
「あなたは尽くすタイプですか?」とか、聞いちゃってるわけよ、男性に。すると、
 
「はい」とか答えてるわけね、男性が。つづけて、
 
「彼はそう言ってますけど、実際、彼に尽くされていると思いますか?」とか、今度は女性に聞いちゃうわけ。それに対して、

「はい」とか答えてんの、女性も。
 
 
 
 うそこけ!(笑)
 
 
 
 女が現状に満足してるワケねーじゃんか! 女ってさ、なんかもっともっと貪欲なイキモノだろ? たとえば何か1つプラスになることを手にいれたとすれば、それを2つにも3つにもしようと思って、じっさいにそうしちゃうのが本来の姿であるはず。
 
 それがいつのまにかどんどん増えて、7になり、8になり、9になり、10になってもまだまだ満足なんかしない。何か1つでもプラスになるものを得ると、そこがモノサシの基点になる。だから、もっと、もっと、もっと、もっと……と、どんどん要求レベルがエスカレートしていってしまうのだ。と、控えめに主張しておくにとどめておく。
 
 だいたいさ、奥さんや彼女の重い荷物を持つくらいのことで、わざわざ「尽くしてます」とか言ってんじゃねーよ、っつーの(笑)
 
 ってか、そんなのふつうじゃん?
 
 料理をしていますとか、食器の片付けしていますとか、掃除や洗濯していますとか、そういうのって、「尽くしてる」の範囲に入るわけ?
 
 お互いの生活を成り立たせていくなかで、お互いの仕事や役割を分担していることが、どーして「尽くしている」になっちゃうの?
 
 
 
 それってなんかちがってねーか?
 
 
 
 「尽くしてる」とか「尽くす」とかいう言葉には、どちらか一方がその時間や労力などのリソースを、相手方に向けて一方的に注ぎ込んでいるような、そういう一方通行かつ逆進不可なイメージがあるんだけど(しかも、持てるもの全部を丸ごと出し切るくらいなイキオイをもって)、どうなんだろう? どちらか一方だけが恩恵を受けているような直列的な関係のような気がする。少なくとも相互補完的というか並列的な関係ではないような。
 
……と、ここまできたところで、ちょっと戻って考えなおしてみる。
 
 たとえば、生活していくのに必要な、a、b、c の3つの要素があったとする。aを80、bを30、cを50持っているAさんと、aを20、bを70、cを50持っているBさんのふたりが共同生活を営もうとしているときに、ふたりがそれぞれ持っているものを持ち寄って、あわせて100にすればいいんだよね?って考える。どーだろ?
 
 でも、それって「尽くす」になるのかな? やっぱり「補い合う」だよね? 「分け合う」でもいい感じ。
 
 つぎに、aを80、bを90、cを70持っているCさんと、aを20、bを10、cを30持っているDさんのふたりの場合はどうだろう? 一見、Cさんだけが一方的にリソースを提供しているようにも見えている。これって何だかお互いのバランスが悪いのではないか?とも受け取れる。こういう場合、Cさんばっかりが損してる(あるいはDさんばっかりが得してる)って思うものなのかな? これはむずかしいぞ。
 
 それでもCさんとDさんのふたりが一緒に生活していて、それでもお互いに調和が保たれているとするならば、ここで比較評価に用いたはずの、数値化された計測可能な要素、a、b、c 以外にも、何か他の(たとえば、dとかeとかfとかの)要素があるのかもしれないではないか? すぐには断じられないけれども、そういう類のものにあたるような何かが。
 
 
 
 なので、このさい勝手に呼び名を付けてしまおう。ってことで「分け合い男子」、略して「分け男」……どーだろ?
 
 
 
 まあ、そんな呼び名のことなんか横に置いといてもいいくらいに、見ていた番組に出てきたカップルの、どのカップルも、どのカップルも、仲がよさそうだったのが印象的。なんかすっごく微笑ましかった。うらやましいくらいに。
 
 
 
 さて、「ZIP!」では、仲がよさそうなカップルに共通する3つの要素として、「3手」という言葉を挙げて番組を締めくくっていた。
 
 ん? なんだ? その「3手」ってのは?
 
 ちょっと昔(といっても20数年前くらい)のことだが、女性にとって理想的な男性が備えているべき(とされていた)条件が3つあり、それを「3高」と呼んでいた。すなわち――
 
 ・高学歴
 ・高収入
 ・高身長
 
 
 その「3高」が、今や「3手」にとってかわろうとしているというのだ。すなわち――
 
 ・手伝う(家事・育児への積極的姿勢)
 ・手を取り合う(お互いの協力と理解)
 ・手をつなぐ(愛情)
 
 
 ふーん……。
 
 
 では、まず、「手をつなぐ」から始めてみましょうか? いかがです?
 
 
 だんつくだんつくつくだんだん♪