基準はシンプルな方がいい

 
 岬の尾根に沿った一本道を、ふらふらとひとり歩いていく人がいる。
 
 その先には、崖になって海へと落ち込んでいる岬の先端がある。道の途中には道の端が脆くなって崩れ落ちて道幅が極端に狭くなっている箇所があってそのままふらふら歩いていくと足を踏み外して崖下に転落する恐れがあるようにも見える。
 
 
「危ないなあ……」と思ったあなたはどうしますか?
 
 
A.追いかけていって引き止める。
 
B.「そっちへ行くと危ないよ」と声をかける。
 
C.知らんぷり。
 
D.その他(具体的に)。
 
 
 
 私だったらどうするか? たぶん、その対応は、相手によって変わる、というか、変える。
 
 
 
【好きな人の場合】
 まず、「危ないよ」と声をかける。声をかけても、そのままずんずん進んで行っちゃうようなら、追いかけていって引き止めようとするでしょう。
 
 
【好きでも嫌いでもどっちでもない人の場合】
 いちおう、「危ないよ」と声はかける。そのまま行っちゃうようなら、もう一度、今度はもうちょっと大きな声で「そっちは崖だ、危ないぞ!」と声をかける。それでも進んでっちゃったら、「あ〜らら、行っちゃったよ……」で、終了。
 
 
【嫌いな人の場合】
 係わり合いになりたくないので知らんぷり。言葉を交わしたくもないので無視します。どうなろうと知ったこっちゃありません。
 
 
【関心がない人の場合】
 そもそも関心がないので、そんなところを歩いている人がいることにすら気づかない。というか、見えていない。仮に、視野にとらえていて、その姿が網膜に映っていたとしても、おそらく脳では認識していない可能性が高い。
 
 
 
 というわけで、私が人に対してとる行動や態度は、高度に恣意的というか選択的。
 
 基準は、「好き」か、「嫌い」かの、たったそれだけ。
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 じつにシンプルでわかりやすい。
 
 
 
 みんなも、そうでしょ?